早期肺がんに関するレーザー治療<光線力学療法(PDT)>考案者、第一人者
日本肺癌研究センター センター長
新座志木中央総合病院 顧問
山王病院呼吸器センター 特別顧問
赤枝病院 特別顧問

早期肺がんに関するレーザー治療<光線力学療法(PDT)>
考案者、第一人者、日本肺癌研究センター センター長、新座志木中央総合病院 顧問、山王病院呼吸器センター 特別顧問、赤枝病院 特別顧問

加藤治文の肺がん相談室

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肺がんについて

肺がんの種類

大きく「非小細胞がん」と「小細胞がん」に分類されます。これは治療法が異なるためです。一般的に小細胞がんは非小細胞がんに比べ治りにくいとされています。
非小細胞がんにはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、がん肉腫など細かく分類されます。現在では腺がんが最も多く、次に扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの順番です。カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、がん肉腫などは稀な種類です。各組織型(がん細胞の顔かたち)によって治りやすいタイプや抗がん剤の効き目も異なってきます。

病理組織像

非小細胞がん

(左)非小細胞がん:腺がん(最も多い)。
(右)非小細胞がん:扁平上皮がん。

早期がん

(左)非小細胞がん:扁平上皮がん。早期がん。
(右)小細胞肺がん。

■肺がんの病理組織像写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん参考資料

肺がんの症状

肺がんの胸部X線写真

肺がんの胸部X線写真

(左)異常は見られない早期中心型肺がん。症状は、せき、たん、血たん。
(右)進行肺がん(III期、中心型、扁平上皮がん)症状は、せき、たん、血たん他、胸痛、声がれ、息切れ。

色々な症状があります。治る時期(病期)のがんでは無症状のことが多いです。
がんの種類によって症状の出現が異なります。また進行に伴って色々な症状が現れます。
扁平上皮がんでは、肺の入り口付近(肺門部、中心部)に発生し、早期の段階から症状が出ます。0期には、咳、痰が重要な症状です。I期では、これらの症状に加えて、血痰や息切れが生ずることもあります。II期、III期、IV期と進行につれて症状がさらに強くなり、胸痛や背部痛などが出現します。
腺がんでは、肺の奥深く(肺野部、末梢部)に発生し、治る時期の0期、I期では全く症状がありません。IIA期でも症状が出ないこともありますが、IIB期になりますと咳、痰や胸痛などの症状が出現し始めます。さらにIII期、IV期と進行しますと息切れ、背骨の痛みや、多臓器への転移による様々な症状が出現します。
カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、がん肉腫では、肺門部に発生しやすく、ほぼ扁平上皮がんに似た症状が出ます。

肺がんの発見法

喀痰細胞診キット

肺がんから身を守るためには如何に早く肺がんを発見するかによります。
日本では1960年代に肺癌学会が創立されると同時に世界に先駆けて肺がん研究に取組んできました。1960年半ばには世界で最初の気管支ファイバースコープが日本で開発され、1970年代半ば頃から厚生省の研究班が発足し、早期発見法の開発に取り組みました。当時は多くの国民(80%以上)はタバコ喫煙者でタバコが原因の扁平上皮がんが多く発生しておりました(肺がん全体の約50%)。このがんは肺の入り口付近(肺門部、中心部)の太い気管支に発生するので、早期にはレントゲンでは発見できなく、この肺がんをどうやって早期に発見するかが大きなテーマでした。この肺がんには前述したように咳、喀痰が主症状ですので、そこで開発された方法が痰を顕微鏡で検査をする喀痰細胞診でした。喀痰細胞診用容器は1974年に開発したものです。今でも使われます。時代の変遷によってタバコ喫煙者が減少(現在約30%)し、扁平上皮がんが減ってきました(現在約25%)が、このがんの早期発見には今でも喀痰細胞診が最も有効です。しかし、せきだけで痰を訴えない患者さんの場合には喀痰細胞診はできませんので、直接気管支鏡検査をして発見します。

CT装置

■CT装置 早期末梢型肺がんの発見に有効。

腺がんでは、以前は25%くらいの発生率でしたが最近では50%以上の発生率なってきました。この増加は世界的現象で国際肺がん学会でも大きな課題になっております。腺がんは肺の奥の方(末梢部)に発生しますので前述のごとく早期には全く症状がないので患者さんは全く気づきません。しかし肺がんは刻々と進行しております。症状が出現してからでは治りません。このがんを早期に発見できる方法はCT検査です。普通のレントゲン検査でも効果はありますが、腫瘍が2㎝位になりませんと発見できません。この大きさでは治る率は90%位ですので十分ですが、CT検査はさらに小さな肺がんをも見つけることができます。このCT検査で見つかった早期のがんですと100%の治癒率が得られます。
ですから、1)喀痰やせきなどの症状が長く続くような人には喀痰検査(喀痰細胞診)をおすすめします。特に喫煙者の方には必須です。
そして、2)もっとも発生率の高い、早期には全く症状のない腺がんの発見にはCTが最も有効でしょう。喫煙者に限らず、非喫煙者の方、女性の方も是非年一回の定期的なCT検査をおすすめします。

■早期肺がんの内視鏡写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

肺がんの検査法

肺がんの疑いのある時は、いろいろな検査を受けなければなりません。

■気管支鏡検査。局所麻酔を使って内視鏡検査が行われる。

■組織・細胞検査。顕微鏡で「がん」の確認と組織型を調べる。

■肺がんの検査法に関する写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

肺がんの確定診断法

喀痰細胞診やレントゲン、CTで発見された異常はあくまで肺がんの疑いであって、まだ肺がんと確定されたものではありません。本当に肺がんであるのかどうかや、できている場所を決定することを確定診断といいます。これにはいくつかの方法があります。

先ず、喀痰細胞診で見つかる肺門部(中心)にできる扁平上皮癌の診断法について説明します。1)気管支鏡検査。これには直径5mmほどの細い気管支内視鏡が使われます(写真)。病巣が見つかったら、そこから組織や細胞を採取し、顕微鏡による検査を行いがんかどうかの最終結論が得られます。ほとんどの場合この検査で分かりますが、中には超早期のがんの場合がん病巣が見えないこともあります。このようなときには、2)がん病巣から発せられる蛍光を観察することによって場所を同定することができます。この方法は光線力学的診断法といい、特殊な薬とレーザー光線を使って調べていきます。そうしますとがんの場所が赤く光って見えますのでそこから組織や細胞を採取して確定診断をします。3)もう一つは、自家蛍光診断法という方法でがん病巣を同定することもできます。これらの方法は1978年から1990年代に掛けて私が中心となって臨床開発されたものです。

TBLB(肺生検)検査

■TBLB(肺生検)検査中風景。
レントゲン透視下に内視鏡で「がん」組織を採取。

経皮的針生検細胞診

■経皮的針生検細胞診(皮膚の上からレントゲンやCT透視下に胸の中に針を刺して細胞を採取する方法)。CTの矢印のところが肺がん(GGO)の疑いのあるところ。

診断から喀痰治療

■診断から治療へのステップ。

そして、CTで発見される末梢型早期肺がんの確定診断法は気管支鏡的肺生検や細胞採取法がありますが、1960年代後半頃にわが国で開発された方法ですが、現在では技術が進歩し、コンピューターガイドによるナビゲーションで小さな病巣でも検体を採取できるようになりました。しかし、まだまだ発生場所によっては検体採取に困難をきたすこともあります。この場合には、胸の皮膚の上から肺に針を刺して検体を採取する方法もあります。この方法を経皮針生検法といいますが、1964年に東京医大で開発した方法です。1cm以下の病巣でも細胞を採取することができます。

このような確定診断法によって肺がんが確定されますと、次には肺がんの進行度(病期)診断が行われます。

肺がんの進行度(病期)決定方法

肺がんの進行度によって治療法が異なってきますので、進行度を決める必要があります。
これらにはいくつかの方法がありますが、全身の転移(脳、骨、リンパ節、他の臓器)の検索になります。
1)CTで検査は、主に縦隔(左右の肺の間の場所)のリンパ節や肺門部の太い血管の浸潤を調べたり、脳の転移の検索が行われます。
2)MRIは、脳や血管の浸潤検査に有効です。
3)PETは全身の転移検察に有効です。

これらの検査によって進行度(病期)が決定されますと次には治療計画に移ります。

PET検査

■PET検査
PETでは全身の転移の検査に有効である。

経皮的針生検細胞診

■肺がんの進行度(病期)決定方法に関する写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

肺がんの症例

[1]正常気管支鏡写真
肺内気管支は分岐をして肺の奥へ進みます。気管支鏡で観察できる所は比較的太い気管支です。

■気管支区域の模式図。

■正常 気管支鏡写真。

■正常気管支に関する写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

[2]肺がんの気管支鏡写真
1)気管支にがんが発生すると写真のようになります。

■気管支鏡所見 早期肺がん
79歳、男性、喫煙歴20本/日、50年間。

■気管支鏡所見 早期肺がん
58歳、男性、喫煙歴20本/日、31年間 。

■早期肺がんの気管支に関する写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

2)早期がんではレーザーによる治療(PDT)によって完全に低侵襲で肺がんを高率に治せます。

■PDTのためのレーザー装置。
波長664nmのダイオードレーザーが使われる。

■左の盛り上がっているところが「がん」(矢印)。
右は治療後で「がん」は消失している。

■レーザーによる治療(PDT)に関する写真はこちらをご参照ください。

Dr.加藤の肺がん資料

3)進行がんの気管支鏡写真
進行の程度において手術を含めて治療法が選択できます。

■左が腫瘍によって気管支が狭くなっている(矢印)。息切れを訴えていた。右が治療後で「がん」は消失し、呼吸機能は改善された。

■手術前PDTによる縮小手術(気管支形成術)。PDTと手術との合併治療によって気管支肺の摘出範囲を小さくすることができる。患者さんの肺機能の温存が可能になる。

■進行がんの気管支に関する写真はこちらをご参照ください。

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[3]肺がんの胸部レントゲンとCT写真

■右上葉の肺がん(腺がん)。矢印のところをよく見ると、かすかに肺がん陰影が映っています。大きさは2cm程ですが分かりにくく、正常として扱われてしまいやすいです。

■しかし、CTで見ると矢印のところにはっきりとした陰影が見られます。CTの優れた技術です。この大きさですと、手術で完全に治すことができます。

■肺がんの胸部レントゲンとCTに関する写真はこちらをご参照ください。

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[4]肺がんとよく似たがんでない疾患

■心臓に重なって大きな腫瘍が見られる(矢印)。7cm程の大きさの腫瘍です。この症例は過誤腫(ハマルトーマ)でした。

■CTでは腫瘍内に脂肪成分、軟骨や石灰化(白色矢印)が見られることから診断されます。

■肺がんとよく似たがんでない疾患に関する写真はこちらをご参照ください。

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